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II.非鉄鋳物コース

【第1部】軽合金鋳物の生産技術

1.合金の特性

<講義内容>
本内容は、教科書(軽合金鋳物・ダイカストの生産技術)の第1章にほぼ沿っている。アルミニウム合金鋳物の特徴と用途について他の金属材料との比較を行い、最近の統計から自動車用に多く使用されてきている経緯と今後もその傾向が変わらないであろうことを示し、製品の実例を紹介している。鋳造プロセスとしては高生産性化、高品質・高性能化、低コスト化が推進される動向をプロセス毎の特徴との関係から紹介している。アルミニウム鋳造合金の基本成分であるケイ素、銅、マグネシウムについて状態図に基づいた組織の説明と合金の特性を示し、基本合金系とJIS合金との関係を紹介している。熱処理による時効析出組織形成と硬化挙動を説明し、熱処理条件の変動に伴う機械的性質の変化との関係を紹介している。各種JISアルミニウム鋳造合金の機械的性質について成分変動、冷却速度の変動、微量元素添加等の影響を鋳造組織との関係から説明している。
講師名
東京工業大学大学院 理工学研究科 手塚 裕康

2.顕微鏡による組織判定実習

<講義内容>
アルミニウム合金鋳物の顕微鏡観察による組織と特徴について解説し、組織観察の手順を説明している。
各自が手順に従い実習を行ない、各自の実習データをもとにディスカッションをしている。
講師名
東京工業大学大学院 理工学研究科 手塚 裕康

3.溶解及び溶湯処理(1)

<講義内容>
アルミニウム合金鋳物を製造するにあたって、高品質なアルミニウム含金溶湯を得るために必要な、溶解方法および溶湯処理について解説する。
溶解材料、溶解設備ならびに溶湯処理を述べ、溶湯処理に関しては、溶湯品質におよぼす、ガス、介在物、および不純物元素の影響、さらに、品質の向上に不可欠な各種改良処理について詳細に解説する。
講師名
(有)タイコウ 代表取締役 仁科 皓一郎

4.溶解及び溶湯処理(2)

<講義内容>
溶湯品質の評価法について、ガス含有量および介在物測定方法などを解説している。
実習では、アルミニウム含金溶湯中のイニシャルバブル法によるガス含有量測定、また、Kモールド法による介在物測定を行っている。
講師名
(有)タイコウ 代表取締役 仁科 皓一郎
早稲田大学 理工学部 第1教育支援課 渡辺 義勝
(財)素形材センター 開発研究所 高橋 昌太郎

5-6.アルミ合金鋳物及びマグネ合金鋳物の鋳造法と品質改善(1)(2)

<講義内容>
アルミニウム合金は燃費改善による環境負荷を軽減する材料として、自動車・航空機・車両などの輸送機の軽量化にそのニーズが高まっている。
このニーズに応え構造部材としての使用量を増やすためには、アルミニウム合金鋳物の高強度化・高品質化・高精度化が課題であり、これらを達成するために鋳造技術の開発・改善が行われてきている。ここでは海外での技術を含め、技術の特徴及び実施例などを紹介する。
また、アルミニウムよりさらに軽い金属としてマグネシウムが注目を浴びIT関連部品にその使用量が増えてきている。しかしアルミニウム合金と比べ、製法、取り扱いなどでは、マグネシウムであるが故に留意すべきことが多く、間違った取り扱いによる災害も発生しているのが実情であり、さらにマグネシウム合金の溶解・鋳造・加工などでの安全対策を含め紹介する。
講師名
(有)神戸製鋼所 大安工場 工場長 小池 進

【第2部】ダイカストの生産技術

1.ダイカストの生産技術の現状と展望

<講義内容>
ダイカストは精密な金型に溶融金属を圧入して凝固させ、高精度で鋳肌の優れた鋳物を短時間に生産する方法である。得られた鋳物は、薄肉・軽量で寸法精度、外観品質、生産性に優れるなどの利点を有しており、自動車関連部品を中心に年々生産量を増加させている。本講義では、生産統計を基にしたダイカストの生産状況、最近のダイカストの市場動向・生産技術動向および今後の課題・展望について解説している。
講師名
(社)日本ダイカスト協会 技術部長 西 直美

2.ダイカストの鋳造理論及び不良対策

<講義内容>
残存ガス量、流動挙動等は鋳造品質を左右する因子である。
本講義では、ダイカストの鋳造理論の理解を深めることができるように、残存ガス量、流動挙動等により発生する鋳造欠陥の事例を挙げ、鋳造欠陥が発生する条件、発生しない条件を、わかりやすく理論的に解説している。
また、不良対策の例を挙げ、本講義で扱ったダイカストの鋳造理論がどう対策に使われているかを解説する。
講師名
(株)東京理化工業所 素形材研究室 室長 板村 正行

3.ダイカスト合金の特性と顕微鏡組織観察の実習(1)

<講義内容>
ダイカスト技術はダイカストマシンと金型技術に依存するところが極めて大きいが、製品に対する品質要求が高くなるにつれて、鋳造される合金側技術の占める割合が大きくなっている。自動車を中心とする輸送機器関係市場に大きく依存するダイカストは、従来のケース物製造中心から、より高機能、高性能の足周り部品や車体部品の生産に対応することが不可欠となってきた。これに伴い、今までの汎用合金であるADC12だけに頼ることはできず、様々な特徴をもつ各種合金を使いこなすことや、各合金での最高性能を発揮することがダイカスト技術全体の中できわめて重要な課題となっている。
本講義では、各種ダイカスト合金の特徴、ダイカスト材の特性に及ぼす諸要因の影響、凝固過程と凝固特性および鋳造性のほか、ダイカストのもととなる溶湯の重要性について、ガス、介在物、微量成分の影響などを含む溶湯処理と溶湯品質について詳細を述べる。
講師名
日本軽金属(株)メタル合金事業部 北岡 山治

4.ダイカスト合金の特性と顕微鏡組織観察の実習(2)

<講義内容>
ダイカストに要求される品質はますます高くなっており、また、不良の発生は極限まで押さえ込むことが要求されている。ダイカストがマシン、金型、合金、操業条件等々の数多くの要因の影響を受け、これらを十分理解し使いこなすことが製品特性を最良の状態に保つだけではなく、操業状態をも安定させることになる。このようなダイカスト製造の現状を正しく把握する手段として、ダイカストの組織観察はきわめて有効な手段であり、日常の作業の一環に加えることが不可欠である。
本編では、組織観察における事前の簡単な講義と試料調整を含む顕微鏡観察の実習をとおして、ダイカスト合金の組織観察をするための一連の作業と勘所を確認し、具体的な作業、動作を会得するとともに、得られた組織をどのように判断するかを理解することに重点をおいている。
講師名
日本軽金属(株)メタル合金事業部 北岡 山治
(財)素形材センター開発研究所 高橋 昌太郎

5.マグネシウム合金ダイカスト(1)

<講義内容>
A1合金より軽量でしかも同等の比強度と鋳造性を持つ実用材料として、Mg合金鋳物は1940年代より注目されていたが、地金の高価格のため航空機の材料など特殊用途に限られ、その間基礎的技術が確立されて来た。戦後大規模な電解法による地金コストの低減により、軽量化ニーズの高まった自動車部品に、欧米においてMgダイカストの採用が進み、昨今では排ガス規制により更に促進している。又従来からMgの振動吸収性を活かしたチェンソーやその他の携帯工具筐体部品への用途と共に、昨今増加している携帯電話器、ノートパソコン、デジタルカメラ等の電子機器、光学機器への採用も単なる軽量化だけでなく、Mgの持つ電波シール性やヒートシンク性という特性の評価によっている。又製品コストでも、Mgダイカスト特有の金型の長寿命、高寸法精度、多数部品の一体化ダイカストにより、他の競合材料に優ることを示している。その実情について述べる。
講師名
日本マグネシウム協会 藤井 恒弥

6.マグネシウム合金ダイカスト(2)

<講義内容>
Mgダイカスト合金は、鋳造性、強度、耐食性の改善のために主成分としてA1、副成分として強度、靭性、耐熱性の改善のためZn、Mn、Si、REがJIS、ISOに規格化され、近年では耐食性向上のため高純度地金が使われている。Mgダイカスト品は軽量性と共に、機械的性質、寸法安定性、減衰能、切削性、耐食性、放熱性、電磁波シール性の各特性が用途を拡大している。
ダイカストのリターン材を含むMg合金の溶解においてコスト面で重要な溶湯の歩留と清浄度の確保、及び安全対策の作業基準を述べる。ダイカスト鋳造作業に対して、Mgの特性に応じた製品、金型設計、高鋳造歩留、低鋳造コストのための各作業基準、特に鋳造歩留を左右する金型の湯口方案の設定、ダイカストマシンの充填速度と圧力の設定のための各パラメーターの制御管理の基準について述べる。その他二次加工及びその安全対策と共に、代表的なMgダイカスト品の実例を示す。
講師名
日本マグネシウム協会 藤井 恒弥

7.討論会(鋳造欠陥とその対応策)

<講義内容>
各受講者から鋳造欠陥について質問を受け、講師(3人)が対応策について返答する内容となっている。
講師名
日本軽金属(株)メタル合金事業部 北岡 山治
(株)東京軽合金製作所 取締役技術部長 寺内 博
(社)日本ダイカスト協会 技術部長 西 直美

【第3部】銅合金鋳物の生産技術

1.銅合金鋳物の特性と用途

<講義内容>
  • 銅合金鋳物の状態図と特性では
    固溶体(置換型、侵入型)・結晶構造(体心、面心、最密立方格子)・金属間化合物・固溶体量と物理的、機械的性質の関係・金属状態図理解の手引き・状態図の作り方・凝固(共晶、偏晶、包晶型)・てこの原理・最大固溶限と凝固温度範囲・密度と強度の関係・銅合金鋳物の種類と用途・凝固形式(表皮生成型、かゆ状型)・純金属と合金の凝固進行状況・デンドライト・溶湯の流動性と流動量測定等を説明する。

  • 銅合金鋳物の種類と用途では
    組成とミクロ組織・マクロ組織(チル晶、柱状晶、等軸晶)・デンドライトアーム間隔・収縮量・Cu-Sn系合金の物理的、機械的性質・青銅、りん青銅、黄銅、アルミニウム青銅鋳物の機械的性質と用途例等を説明する。
講師名
芝浦工業大学 工学部 村田 清

2.顕微鏡組織判定の実習

<講義内容>
  • 手順の説明では
    荒研磨用エメリー研磨紙による研磨方法・仕上げ研磨用回転バフ研磨器による研磨方法・研磨後の乾燥方法・組織を出すための腐食方法・顕微鏡観察方法等を説明する。

  • 実習では
    荒研磨用エメリー研磨紙による研磨方法と注意事項・仕上げ研磨用回転バフ研磨器による研磨方法と注意事項・研磨後の乾燥方法と注意事項・電解腐食方法と注意事項・顕微鏡の使用方法と注意事項・組織観察方法と注意事項等を説明する。
講師名
芝浦工業大学 工学部 村田 清
三芳合金工業(株) 伊藤 秀晴

3.銅合金の溶解

<講義内容>
  • 溶湯品質では
    化学成分・材料・溶湯温度・測温の技術・溶湯重量、歩留等を説明する。

  • 酸化とガス吸収では
    銅合金の酸化と合金元素・液体と固体の固溶限・溶解雰囲気とガス吸収・水素と酸素の関係・酸化還元溶解・取鍋の乾燥方法・脱ガス方法等を説明する。

  • 合金別溶解方法(青銅鋳物、りん青銅鋳物、鉛青銅鋳物)では
    Znによる脱ガス・溶解炉の乾燥・溶解方法・不純物の精錬除去・脱水素と脱酸・Pによる脱酸等を説明する。

  • 合金別溶解方法(黄銅、高力黄銅鋳物)では
    ガス吸収・Alの鋳造性改善効果・合金成分と強度等を説明する。

  • 合金別溶解方法(ベリリウム銅鋳物、アルミニウム青銅鋳物)では
    Beの特性・脱ガス方法・溶解雰囲気・Alの特性等を説明する。

  • 合金別溶解方法(純銅鋳物)では
    酸化防止対策・脱ガス脱酸・割れ防止等を説明する。
講師名
中越合金鋳工(株) 矢後 亘

4.炉前試験の実習

<講義内容>
  • 手順の説明では
    ガス吸収の防止・脱ガス処理・溶湯の試験方法・炉前試験鋳型の形状・破面の判定・チル層・柱状晶・青灰色部・鋳造条件・破面とマクロ組織観察・実習溶湯処理条件・鉛レス合金の破面判定等を説明する。

  • 実習では
    破面試験片鋳型・鋳造条件・鋳造方法・鋳造後の試料冷却方法・試験片の処理方法・マクロ組織観察試料の作成方法・マクロ組織の出し方と腐食液・破面とマクロ組織・試験結果の解説等を説明する。
講師名
(株)加藤組 高田 孝保
早稲田大学 理工学部 渡辺 義勝
三芳合金工業(株) 伊藤 秀晴

5.鋳造方案と不良対策

<講義内容>
  • 鋳造方案では
    鋳型設計の基本原則・押湯効果・押湯の給湯距離、本数、配置、大きさ・鋳物形状、押湯比と鋳造欠陥の関係・押湯実施例・湯口系内の流動・湯口各部の名称と役割・湯口方案と湯流れ・鋳込み時間、重量・せき・冷し金の種類、材質、耐用回数・相対冷却能・冷却効果・造型・水ガラス・型込め・鋳込み・取鍋等を説明する。

  • 不良対策では
    国際鋳物欠陥分類・銅合金鋳物欠陥の分類・鋳造欠陥と溶解、鋳込み・凝固の基本的性質・鋳物欠陥の分類と主原因・引け巣、ざく巣、ガス穴、気孔欠陥発生機構の基本的分類・鋳張り、型割れ、はぐみ、張り、外引け、内引け、吹かれ、熱間割れ、湯回り不良、入れ干し、焼付き、湯漏れ、すくわれ、まき込み、押し込み、洗われ欠陥発生の原因と対策の取り組み方等を説明する。
講師名
市川技術事務所 市川 忠一

6.最近の各種砂型鋳造法の特性比較

<講義内容>
  • 砂型では
    砂型の種類・鋳物砂の必要条件(造型性、耐火性、安定性、安い、低熱膨張、熱伝導性、砂温)・鋳物砂の分類・鋳物砂の特性・鋳物用砂の熱的性質・特殊砂の特性・各種砂粒の熱伝導度・造型法の分類・鋳型の生産技術・銅合金鋳物の生産技術等を説明する。

  • 主な砂型では
    生型・手込め・機械込め・砂の管理方法・型形状と砂の詰り方・乾燥型の利点と欠点・シェルモールド法の造型方法CO2型の利点と欠点等を説明する。

  • 銅合金鋳物の凝固特性では
    スキンフォーメーション型・マッシー型・凝固進行状況・固液共存・合金ごとの凝固形態と鋳造方案・指向性凝固・冷し金の種類と使用実施例等を説明する。
講師名
(株)芝浦合金 相澤 光彦

【第4部】軽合金鋳物・ダイカストの品質管理

1-1.新しい品質管理

<講義内容>
品質管理とは、すべての仕事の質を管理することである。全員参加のQCをデミングサークルを廻しながら実践して行くことである。品質管理の神髄は品質保証体制の確立にある。それにもう一つの役目として新製品開発がある。
品質保証体制とは顧客のニーズを把握し、それに基づいて品質設計や工程設計を行い、バラツキの少ない製品を造り込むことにある。あらかじめ決められた検査方式で検査を行い、出荷後も品質を保証し、さらに市場の品質情報をつかみ、その情報をフィードバックする一連の活動体系である。
品質管理の基本的な考え方は次の通りである。
  1. 全員参加の管理改善活動
  2. 品質第一主義
  3. マーケットインに徹する
  4. 事実・データで物を言う
  5. 次工程はお客様
「事実・データで物を言う」は眼で見る管理とも言われ、QCの7つ道具を駆使して、工程の実力を明記すべきである。5ゲン主義で物事を観察し、SQCで解析考察し、改善をどんどん推し進める必要がある。
講師名
小林技術士事務所 所長 小林 良紀

1-2.統計的手法の活用

<講義内容>
鋳物造り現場の品質保証は、徹底して各工程で作り込まねばならず、それには4つの基本がある。また、品質の良さ悪さを計る目安として「統計的な考え方」が必要で、これが「目で観る管理」になることを解説している。さらに、品質管理の進め方として5ゲン主義、PDCA、結果デプロセス管理、源流管理・歯止めの徹底等を説いている。
これらを推進していく上での道具としては、QC7つの道具が適当であり、パレート図、特性要因図、ヒストグラム、管理図、散布図、層別等について詳しく解説し、その具体的な使用法を説明している。また、鋳鋼品の出来栄えをチェックする場合に使用する「日常標準作業チェックポイント」を示し、具体的なチェック方法を述べている。
最後に、これらを用いて統計的に品質を管理する方法について説明している。
講師名
小林技術士事務所 所長 小林 良紀

2.造型における鋳造欠陥対策

<講義内容>
軽合金鋳造品の中で、砂型鋳物に関する不具合事例を紹介する。特に、砂および造型に起因する不具合事例を中心に紹介する。不具合の対策として、最も大切なのは現状把握であり、原因追求であることから、下記の不具合について、その内容を示し、原因とその対策内容についても簡単に紹介する。
はじめに、砂食い(sand inclusion)、イグロス欠陥、掬われ(Scab)、荒らされ(wash)・目ざし(Penetration)、吹かれ(キライ)(blow)、酸化物欠陥(Oxide inclusion)、ポロシティ欠陥、シュリンケージ欠陥、湯境欠陥
講師名
(株)神戸製鋼所 大安工場 中田 守

3-1.鋳造品への非破壊検査技術の適用

<講義内容>
非破壊検査とは、素材、製品、構造物の品質管理や品質保証の手段として用いられる方法であり、検査対象物を傷つけたり、破壊したりすることなく、対象物の表面や内部状態を知るための方法である。
本講義では、アルミニウム鋳物に適用される代表的な非破壊検査法として、放射線透過検査および浸透探傷検査について、各々の原理、手順、特徴といった具体的な内容のほか、その実施例についても説明する。
講師名
(株)神戸製鋼所 大安工場 品質保証室 靏谷 智之

3-2.溶解における鋳造欠陥対策(1)

<講義内容>
金属を効率良く溶解する為には、溶解技術の理論的な解釈や基礎知識からのアプローチが重要である。そこで、アルミニウム溶解の基礎知識を解説する。そして,続いて、最近の進歩が著しい溶解技術,溶湯処理技術についての技術動向を報告する。本報では、アルミニウムの溶解について解説を行っている。
  1. 溶解、溶湯処理の基礎
    溶解効率を決める基礎物性値について、その物性値が熱効率にどのような影響を有しているか、何に注意すれば良いかを述べている。
  2. 実際の溶解炉を用いてシミュレーションで熱効率の推移を求め、熱効率向上の為の施策を解説している。
  3. 溶解作業において注意する成分の挙動を示す。製品の品質に影響を及ぼす微量元素の挙動把握は重要である。
  4. 溶湯品質に影響を及ぼすガス発生機構、欠陥への影響を示す。
講師名
日本軽金属(株) 倉増 幸雄

4.溶解における鋳造欠陥対策(2)

<講義内容>
  1. 酸化物挙動
    アルミニウムは活性金属である為、容易に空気中の酸素と反応する。その結果、生じた酸化物が製品中に巻き込まれ、重大な鋳造欠陥を引き起こしている。この酸化物生成を防止する為、酸化反応機構、酸化防止元素等について解説している。
  2. フラックス効果
    溶湯中に巻き込まれた酸化物を除去する為に使用されるフラックスの酸化物除去挙動、フラックス使用条件等を求めた結果を示す。
  3. 酸化物計測法の紹介
    溶湯中の酸化物測定法として、PoDFA,Kモールド法について、計測法を詳細に述べ、適切な使用法について解説する。
  4. 溶湯の性能評価
    溶湯の性能計測として、凝固時の引け量、流動性を説明する。
  5. まとめとして、経済的および効率的な溶解法を実施する為の留意点について解説する。
講師名
日本軽金属(株) 倉増 幸雄

【第5部】軽合金鋳物の複合化と先端技術

1.最近の高圧鋳造技術

<講義内容>
溶湯を金型内に比較的大きな湯口を通して低速で充填し、十分な圧力をかけて欠陥の少ない微細均一な組織を有する高品質な製品を造る高圧鋳造は、ダイカストの一分野としてスクイズダイカスト、低速ダイカスト等の名称で普及しており、いまや、高品質鋳造品の製造技術としては不可欠な工法として広く世界で利用されている。
本講義では、凝固組織に対する加圧の効果、加圧下での伝熱現象、ガス欠陥に対する加圧の効果等の高圧力がもたらす凝固特性、凝固機構などへの影響について基礎的に解説するとともに、本技術で問題となりやすい偏析欠陥への対策も紹介している。
さらに、複合材のリサイクルなど、複合材に関する応用技術などについても幅広く紹介している。
講師名
米国 Northeastern 大学 Visiting Scholar 西田 義則

2.スクイズ鋳造法の実習及び討論

<講義内容>
溶湯を金型内に比較的大きな湯口を通して低速で充填し、十分な圧力をかけて欠陥の少ない微細均一な組織を有する高品質な製品を造る高圧鋳造は、ダイカストの一分野としてスクイズダイカスト,低速ダイカスト等々の名称で普及しており、いまや、高品質鋳造品の製造技術としては不可欠な工法として広く世界で利用されている。高圧鋳造が複合材製造における主要技術となっていることから、プリフォームの製造技術を含む複合材の製造技術を実習状況を通して紹介する。
講師名
米国 Northeastern 大学 Visiting Scholar 西田 義則
元 名古屋工業 技術研究所 井澤 紀久

3.鋳造鍛造

<講義内容>
鋳物で素材を作り、これを鍛造することによって品質を高める鋳造鍛造技術は長い歴史をもつ。鋳造鍛造は、鍛造における原価低減策として用いられたり、鋳造における高品質化策として用いられたり、鋳物と鍛造のメリットをうまく活用する技術として自動車部品を中心とする各種機械部品に利用されている。軽量、高品質、高信頼性とともに、低コストが要求される昨今の市場環境では、アルミニウム合金素形材製品における鋳造鍛造はきわめて重要な技術としての地位を築いており、実用化例も一段と増加することが期待されている。
本講義では、鋳造鍛造の技術的意義、製造上のポイント・問題点、鋳造鍛造に適した合金材料、材料特性とその特徴、製品形状との適合性、用途および実用製品例等についてその詳細を述べる。
講師名
日本軽金属(株)メタル合金事業部 北岡 山治

4.半溶融・半凝固成形技術

<講義内容>
半溶融・半凝固成形技術は、固液共存状態における材料の成形技術であり、鋳物・ダイカストの高品質化における最も新しい究極の成形技術と考えられる。高品質であると同時に優れた生産性をともない、また、大幅な型寿命の延長が可能であるなどの経済性にも優れた、素形材分野における有力な技術として脚光を浴びている。
本講義では、特殊ビレットを半溶融状態に加熱して成形する半溶融成形技術、および、溶湯を液相線直下の半凝固状態に冷却して成形する半凝固成形技術の基本原理と出来上がった製品の特徴などを詳しく紹介するとともに、既に実用化されているアルミニウム、マグネシウム合金への適用例のほか、鋳鉄における開発事例も紹介している。本技術はさらに、複合材成形技術の一つとしても重要な意味を持つことから、複合材への応用技術についても触れている。
講師名
神鋼リサーチ(株)エコマテリアル研究部 吉田 千里
一般財団法人素形材センター
〒105-0011
東京都港区芝公園3-5-8機械振興会館301号室
TEL.03-3434-3907
FAX.03-3434-3698
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