ダイカスト金型の長寿命化には、大割れ回避とヒートチェック軽減が必要である。このようなニーズに応えるため、「高い焼入れ性」と「高い熱伝導率」を具備する斬新な熱間ダイス鋼を開発した。
SKD61対比、開発鋼は焼入れ性が高いため金型内部まで高靭性となり、大割れを回避できる。また、熱伝導率が高いため熱応力が低減され、ヒートチェックが発生し難い。以上によって、金型寿命を延長できる。焼入れの設備や技術が十分でない地域で焼入れた金型でも安定して高靭性が得られることから、グローバルスタンダード鋼として世界標準化に貢献できる。開発鋼はNADCA規格にも登録された。
SKD61のダブルメルト材と比較し、バナジウム量の削減やシングルメルト化により省資源・省エネルギー・金型素材コスト低減を達成した。2012年度の販売量は1,800トンである。新興国での使用拡大や鍛造金型への適用によって、今後も世界的な普及が期待される。 |